2013年1月3日木曜日

第25回近畿地区管制・情報懇談会ダイジェスト

主催:八尾空港協議会・公益社団法人日本航空機操縦士協会(JAPA)西日本支部
日時:20121130() 13:1517:00
場所:八尾空港 朝日航洋株式会社 会議室



「シリーズ・同じ空域を飛ぶ仲間の相互理解 報道ヘリの飛行について」
朝日航洋株式会社 西日本航空支社 中園和秀操縦士


取材内容によっては、現場に10機を超える報道ヘリが集まることがある。
取材は、現場から半径500mから2000m、新聞社は1000ft、テレビ局は3000ftから行うケースが多い。
ハード面での安全対策は、衝突防止灯の点灯、VHF無線、TCAS等。
ソフト面での安全対策は、飛行方法の取り決め(右旋回、追い越さない、止まらない等)や122.6MHzでのコミュニケーション等。
現場に近づくと122.6MHzで「○○放送、現場まで3マイル、東から進入、2000ft」のようにコールする。すると取材中の他機が「○○テレビ、1200ftで取材中。他はいません」のような返事が来る。
「○○分すぎに生放送。ホバリングに入ります」と送信すると、周りの機体が協力して避けてくれる。
車で狭い道路を、急いで走っても、対向車がすれ違うのを待っても、時間的には大きく変わらない。しかし後者の方が気持ちいい。122.6MHzでのコミュニケーションもそう。声の掛け方次第。
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こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか
にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば
じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて
わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?
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人間は、文字の最初と最後さえ認識できれば、中間はめちゃくちゃでも読めてしまう。また読もうと思えば1文字1文字読むこともできる。(講師は別の画像を紹介されていましたが、同じ物が見つけられなかったので、同じ文章をご紹介しました)
現場では報道機がひしめきあっているのかと思いきや、122.6MHzでうまくコミュニケーションすることで、全体像を捉えることができ、また個別の機体の動きも捉えることもでき、安全が確保されている。



「続発する滑走路誤進入」
公益社団法人日本航空機操縦士協会 西日本支部長 若谷哲也

使用資料

滑走路へ誤進入すると、航空機同士が衝突し、多数の人命が失われる可能性がある。
誤進入は、パイロットが原因の場合、管制官が原因の場合、両方ある。
人間の行動は「人間の特性」と「人間を取り巻く環境」に大きく影響される。
滑走路誤進入の原因を、人間の特性から分析した。35%が思い込む・あやふやなままほったらかす、19%が聞き間違え、19%が同時に複数のことができない(気になることがある)、14%が手を抜く。この4つだけでも87%。
「注意しましょう」だけではダメで、小松の様な事例が起きる。「滑走路の手前には停止位置案内標識がありますので、その先は滑走路です」の様に、知識を具体的に使う必要がある。
パイロットは、新しい情報を入手して、バックボーンまで理解して、運航の中で具体的にどう使うかまで考える。
あるのは危険だけ。知識と行動で危険を交わす。




「拡大した関西進入管制区 小型機と大型機の共存」
大阪航空局 関西空港事務所 海住悦司主幹航空管制官・澤田郁子主任航空管制官


平成24年5月31日に高松進入管制区が関西進入管制区に統合され、高松空港の管制官の一部が関西空港レーダー室に移り働いている。
高松と1年前に統合された高知は、管制官の資格が別である。
高松進入管制区が統合されたことで、西は広島進入管制区と接続した。管制部とも新たなセクターで接続することとなり、計11セクターと接続している。
統合により、業務・調整が円滑になり、運航が効率化されている。
合理的なIFR経路への再編も考えている。7月28日に一部経路が変更された。
関西進入管制区は、関西の出発機・到着機、大阪の出発機・到着機、八尾の出発機・到着機、神戸の出発機・到着機、岡山の出発機・到着機、高松の出発機・到着機、徳島の出発機・到着機、V28通過機等、多数のIFR機が飛行している。それらは経路・高度を分けて飛んでいるが、一部で交差する場所があり、うまく間隔をとらないといけない。JAPA西日本支部サジェスト:管制官の指示に従う。進路・高度の変更は管制官に伝えてから! パイロットの知らないところでIFR機と間隔を取っている場合がある。

TCAアドバイザリーを希望する場合、プラン18項に「RMK/TCA=RJBB時刻」を記入しておくと、DBC等が印刷された運航票(ストリップ)が事前にTCA席に出力され、スムーズにTCAアドバイザリーを受けられる。記入がないと、レーダー画面に機番を打ち込み、DBCを決定し、運航票も手書きするため、TCAアドバイザリー提供に時間がかかる。JAPA西日本支部サジェスト:TCAアドバイザリーを要求する時はプラン18項に「RMK/TCA=RJBB時刻」と記入する! 記入していないとレーダーに機番を入力してスコークを決定したり、運航票の作成が必要となり、管制官に負荷がかかる。
高松から離陸する場合「RMK/TCA=RJOT」ではなく「RMK/TCA=RJBB」となる。
TCAのアンテナは関西空港・大阪空港・高松空港に2つずつある。アンテナは空港にあるため高さが低く、航空機の場所によっては電波が地形でさえぎられることがある。航空機の送信がようやく聞き取れるような状況では、関西・大阪両方のアンテナをオンにし、より聞こえるようにしている。ところが両方のアンテナから送信される電波が干渉し、航空機側では聞き取りにくい状況いなってしまうことがある。
訓練空域での訓練機は、入域出域を紙に記録し、ATMCの端末にも入力している。通過機は入域出域を紙に記録している。
他の管制席に影響するVFR機がいれば、TCA席の管制官は、口頭・受話器・ヘッドセットで調整している。複数の管制席と調整する場合は、その都度同じ内容を伝えることになる。JAPA西日本支部サジェスト:無線は簡潔に! 管制官は無線以外に、他の管制官に私達VFR機の動きを連絡し、調整している。

飛行要望書はTCA席に置いている。他の管制席との調整が必要な場合、事前にコピーして渡しておくケースもある。
場所・高度により、どの管制席と調整するかが変わる。
例えば梅田で、1000ftならアプローチ席と大阪タワー、5000ftならディパーチャー席のように。


C1の調整先は、神戸管制席・関西席アプローチ(RWY24時)・関西席ディパーチャー
C2は、大阪席ディパーチャー、関西席ディパーチャー
C3は、大阪席ディパーチャー、大阪席アプローチ
C4は、大阪席アプローチ
C5は、関西席ディパーチャー、大阪席アプローチ


八尾のIFR機の経路が、どうしても都合が悪い場合、経路を変更することがある。交通流をさえぎる経路でなければ問題ない。
VFRが6500ftや7500ftで関西ACAを通過する場合、交通流をさえぎる経路でなければ問題ない。
VFR機が八尾を離陸して三宮方面へ飛行する場合、上昇を3000ft前後でいったん止めてもらう。大阪空港の出発機で上昇が緩やかな機体との間隔を取るため。JAPA西日本支部サジェスト:八尾を離陸したVFR機は、神戸・和歌山方面は高くとも3000ft、東方面は高くとも2500ft! ラインのTCAS RA動作事例が続発している。TCAに確認を取ってから上昇。
VFR機が場所を地名で言った場合、関西出身でない管制官は、どこか分からないケースがある。空港やVORからの方位・距離で言ってもらえばすぐ分かる。JAPA西日本支部サジェスト:航空機の位置は地名ではなく空港やVORからの距離方位で! 関西出身でない管制官は地名を聞いても分からない。

地名由来のFIXがある。例えば、KAMEO(亀岡)、HABIK(羽曳野)、SANPO(散歩ではなくサンポート高松)等。高知のYOSAKOI NORTH RNAV ARRIVALは、POPPY-JYAMU-BATAK-CHEEZ-ANPANとアンパンマンのキャラクターが並び、神戸のHANSHIN RNAV ARRIVALはBERTH-KAKEF-OKADAと阪神の選手並ぶ。
FIXの場所と由来の場所が離れているケースもある。例えば三田の駅はSANDAの西8NM、須磨海水浴場はSUMARの南東6NMのPCAの中等。パイロットが「淡路に行く」と言ったので淡路VORに行くのかと思えば、淡路島の北の方へ行ったケースも。
FIXで言う場合POINTを付加してSANDA POINTのように言うパイロットもいる。




「八尾空港の管制の特徴」
大阪航空局 八尾空港事務所 井筒繁夫主幹航空管制官


八尾空港の管制は、先任管制官1名、主幹管制官2名、管制官6名(内訓練生1名は監督者の下でOJT中)で行っている。
管制塔にはローカル席・FD席・グランド席がある。
TDSという関空からのレーダー画面がある。レーダーのアンテナは関西空港にあるため、距離が離れており、また地上物標の影響も受け、八尾のダウンウインドを飛んでいる航空機が映らないケースがある。
FDPSが配備され、IFR・VFRの飛行計画が抽出できるようになった。IFR機はEOBTの30分前に運航票(ストリップ)が印刷される。
オフィシャル滑走路の使用比率、27が79%、09が20%、31が1%、13が0%。
取扱機数は、1971年が8万機、1981年が6万機、1991年が8万機弱、2011年が4万機。
取扱機数は飛行機が1番だったが、1991年にヘリコプターが逆転した。
浅香・PL・王寺からの到着機は南側のダウンウインド(浅香は状況によっては北のダウンウインドも)、天王寺・東大阪からの到着機は北のダウンウインドを使用している。
王寺2000ft未満ではタワーで受信できないケースが多い。電波が聞き取りにくい航空機の場合、コンパスエリア付近のアンテナから、タワー付近のアンテナに切り替えると聞こえるケースがある。アンテナが地上にあるため、岩屋のRADIO CHECKも聞き取りにくいケースがある。
自衛隊B350が使用できるのはRWY09/27とG2のみ。RWY27で着陸したら、滑走路上をバックトラックしてG2に戻るので時間がかかる。
チヌークや5.7tを超える警察ヘリ等の離着陸は、アーミーヘリパッドではなく滑走路から。
滑走路とヘリパッドは同時離着陸。ただし経路が交差・重複しないよう指示している(交点で高度で差をつけるケースも)。
TGLは5回・5回で計10回まで。
グラスエリアでの離着陸は、A1からA2の間、B1からB2の間のみ。
IFRの管制承認は、経路がKRE・POPPYの航空機は関空経由福岡管制部に、それ以外は関空経由東京管制部へ要求する(これ以外のケースもある)。経路が管制部をまたぐ場合、管制部間で管制承認の要求・発出を行っている。多くの機関を経る場合、発出まで時間がかかるケースがある。
八尾から管制承認を要求すると、まずGND待機の指示が来る。航空機からレディーがかかると、GND待機の出発制限を解除してもらう。
八尾のSVFR、以前は関空から時間を指定して一括許可が出ていた。しかし八尾にSVFR機がいる場合、大阪はRNAVをしないことになり、一括許可の形ではなくなった。


「Taxi to holding point~」関連
ICAOの規定では、クリアランスにはクリアランスリミットがある。9月20日の管制方式基準改定で、地上滑走の限界点をHOLDING POINTと定めた。
HOLDING POINTは誘導路上に設定する。RWY27の場合、B1をHOLDING POINTとして地上滑走させる。B1に近づいた所でタワーにコンタクトさせ、B RWY進入の許可を出す。
「CONTACT TOWER APPROACHING B1.」と指示された場合、余裕を持ってタワー前ぐらいでコンタクトを。




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