2010年9月10日金曜日

小型航空機の胴体着陸事故の絶滅を

JAPA西日本支部長の若谷哲也です。
小型航空機による胴体着陸事故が後を絶たないことを残念に思います。

私が20歳の頃の話しです。
私がお世話になっていた会社が、ビーチクラフト式E33型という引き込み脚の飛行機を導入することになりました。
その会社で引き込み脚の飛行機に乗ったことのあるパイロットは数名しかいませんでした。
私は社内のパイロットにビーチクラフト式E33型の引き込み脚に関する教育が必要だと考えました。
そこで各種の文献を参考に文章を作り、社内のパイロットに配布することにしました。

今回はその文章の一部をご紹介してみたいと思います。

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��着陸時における脚の引き込み胴体着陸による事故>

着陸時の脚に関わる事故を大きく分けると、次の2つになる

��、60% 着陸滑走中に、フラップを上げるつもりで、ギアを上げた

通常、脚には、セーフティースイッチという装置が装着されており、地上において不意に脚が引き込む事を防止している。
しかし、着陸滑走中、翼にはまだ揚力が残っているため、セーフティースイッチは着陸しているにもかかわらず、飛行中であると判断することがある。
この時に、フラップを上げるつもりで脚上げ操作をすれば、脚は引き込みを開始する。
フラップレバーとギアレバーは、形状も違い、手触りでも識別することが可能であるにもかかわらずこのような事故が起こる原因は、慣れにより、無意識操作になってしまうためである。

��事故対策>
フラップ上げ操作は、タクシーウェイに入ってから、落ち着いて行う!
��チェックリストでは、エンジン停止手順の中にフラップ上げ操作が含まれており、誤作動防止への配慮がうかがわれる)

��、40% 脚下げ操作を全く忘れて、胴体着陸

事故報告書を読むと、次の様な状態で胴体着陸事故が発生しやすい事が分かった。
 1、着陸進入に集中できない状態
   例えば、隣に座っている人とのお喋り、インサイト出来ていないトラフイックがいる。etc...
 2、チェックリストを使用せず、暗記に頼りランディングチェックを行う

胴着した機長の話しによると、脚が降りていないのに気が付くのは、プロペラが地面を叩いた瞬間だそうだ。
タワーからの警告があったにも関わらず、通報内容が聞き取れず胴着した機長もいた。
タワー等からの通報内容には耳をすまし、内容が聞き取れない場合は、GO AROUNDしてでも、通報内容を確認するぐらいの配慮が必要であろう。

��事故対策>
チェックリストの使用!
不安があれば、GO AROUND!
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この文章はビーチクラフト式E33型を前提に書いたものです。
しかし他の型式でも、その型式の脚のシステム・安全装置・警報装置等を考慮してアレンジすれば、適用できる部分もあるのではないかと思います。

小型航空機の胴体着陸事故を絶滅させましょう。

2010年9月3日金曜日