2010年11月26日金曜日

神戸市との意見交換会報告

8月23日に神戸空港で発生した胴体着陸事故に関連し、神戸市長が9月3日に操縦士協会に発行した文書の説明を受け、意見交換を行いました。

日時:2010年9月21日
場所:八尾空港事務所会議室
参加者:神戸市みなと総局 空港事業室・神戸空港管理事務所、JAPA西日本支部委員

神戸市:本日の目的は、8月23日に発生した神戸空港における胴体着陸事故に対して、9月3日に神戸市長名で日本操縦士協会宛に発行した「神戸空港における航空機の運航の安全確保について」(神み空第60号)についての説明と、今後神戸空港における安全確保のための意見を聴取したい。

JAPA:胴体着陸事故については過去もしばしば繰り返されてきた事故である。事故を防ぐためにはパイロットの努力だけでは解決できない。管制からの確認等の相互協力が必要である。今回も滑走路が閉鎖されたが、最近は以前に比べ事故後の処理に手続き等時間がかかり閉鎖時間が長くなりエアライン等に影響を及ぼすことが多くなって問題が大きくなりやすい傾向がある。ただし、空港ごとで対処時間にはかなり差があるので対処のための体制作り・教育の実施が重要だと考える。今回は事故処理に伴う滑走路の閉鎖はどのくらいかかったのか。

神戸市:2時間くらい。

JAPA:それは、かなり早い方だと思う。

神戸市:今回のような事故を未然に防ぐためには、どうしたら良いと考えるか。

JAPA:JAPAでは「小型機航空安全セミナー」を定期的に開催し、会員に対し安全運航に関する情報提供及び注意喚起を行っている。

神戸市:JAPA西日本支部ではどのくらいの会員数がいるのか。またJAPAに所属していないパイロットはどのくらいいるのか。

JAPA:現在JAPA西日本支部は300名弱の会員が所属している。ただし所属していないパイロットもその倍ほどいる。JAPAの活動だけではパイロット全員に安全情報の提供・注意喚起を行っていくには限界がある。空港事務所に注意喚起を促す掲示をして全てのパイロットの目に留まるような施策を実施することも重要だと考える。

神戸市:なかなか掲示物を見てもらえない現実もある。

JAPA:印刷物を配布する手段もある。神戸空港では、今後小型機の運航を制限する可能性はあるのか。

神戸市:今のところ制限するという話はない。ただし、今後も事故が特に人命に関わるような事故があれば、空港利用者からそのような声が上がる可能性も無くはないので、事故の防止を周知徹底させて欲しい。

JAPA:先ほども言ったようにパイロット側からだけで事故を防止することは困難である。管制の協力(音声で脚を出したかどうかの注意喚起を行う共に、双眼鏡で進入してくる機体を視認し、脚が出ているかどうかを確認する)が必要。脚の出し忘れについては、航空機本体のハード的な不備に起因する場合もあるが、最終的には教育により習熟していくしか方法がない。教育をしていくにもJAPAのような団体に所属していない方々にそれを伝えることは難しい。やはり管理事務所のような全てのパイロットが利用するところの協力が必要である。

神戸市:安全第一の観点から出来ることは全て行っていきたい。本日ここで出た意見は管制塔関係機関にも伝える。

JAPA:ヒューマンエラーによる事故の原因としては、知識不足・経験不足・技量不足がある。
小型機の運航を制限することは広い目で見ると、かえってパイロットの操縦経験不足から安全性を損なう可能性があるので旨いやり方ではないと考える。出来ることならタッチアンドゴーについても条件を緩和して訓練を出来るようにしてもらうとより安全に寄与できると考える。

神戸市:本日は貴重な意見ありがとうございました。今後も神戸空港の安全運航に対してご協力お願いします。