2013年2月19日火曜日

第3回関西ブロック合同管制技術交流会報告

第3回関西ブロック合同管制技術交流会が、2013年2月8日(金)、大阪航空局関西空港事務所で開催され、西日本支部支部委員3名が参加しました。




「空港長あいさつ」
大阪航空局関西空港事務所 長谷川浩空港長

安全で効率的な運用、航空局・運航者、立場は違えども向いている方向は同じ。
意見を交換し、改善の種になれば。


「管制方式基準の改正について」
航空局交通管制部管制課 原田毅彦管制調査官

平成15年に、管制方式基準改正ワーキンググループを立ち上げた。
ICAO準拠、現状に合っていない物の改正、新しい技術への対応を行っている。
メンバーは23名。
月1回ミーティングを開催。
事務局である東京港空港事務所の3名が、改正案を作成。

RNP AR進入方式の導入が進んでおり、4月には松山に導入予定。

RNAV進入方式ではレーダー監視が必須。
旭川でRNAV進入方式許可後も、札幌ACCが監視を継続するよう改正。

滑走路誤進入防止対策を進めている。
ハード面では、滑走路状態表示灯(RWSL)システム設置、マルチラテレーションによる位置監視、滑走路占有監視機能等。
ソフト面では、復唱要領の制定等。

復唱要領を管制方式基準とAIPに掲載。リンク

無線を使い続ける限り、齟齬防止は永遠の課題。
ATCコミュニケーションハンドブックを作成し、齟齬をなくす方法を掲載した。リンク

滑走路手前における待機指示について復唱がない場合に使用する用語を、FAAを参考に制定した。

地上滑走の指示を変更した。
地上滑走の指示をした場合、日本では滑走路に入る航空機はいないが、世界ではそうでない例もある。リンク

「インターセクションディパーチャーアプルーブ」と聞いて、滑走路に誤進入したケースがあり、ディパーチャーという言葉を使わない用語に変更した。リンク

東京レディオとATMCの間で行う洋上管制に関する連絡は電話で行っていたが、文字で行えるよう改正した。リンク

レーダーシステムの改良に伴い、ACCにおける管制間隔測点の変更を行った。

3月7日から関空でCDO( Continuous Descent Operation)が開始される。

フローコントロールの精度向上のため「リリースアフター(時刻)、VIFNO(時刻)」という言い方が試行され、2~3年後に施行の予定。


「発展し続ける関西進入管制区」
大阪航空局関西空港事務所 海住悦司主幹航空管制官

関西進入管制区再編2段階目が3月7日に実施される。
進入管制区が西側に一部少し広がる。
V28を西へ飛ぶと、管轄が関西ACA・東京ACC・福岡ACCとなるが、関西ACAから直接福岡ACCになる。
南東側を東京ACCに移管し、セントレア到着経路を北に上げる。

関空の交通量、月9000機だったのが、LCCの就航で月11000機まで増加。
FEDEXの拠点化でスポット増設中。
交通量はさらに増える見込み。

大阪の滑走路、32Rから離陸していたB737・A320・E170が32Lからの離陸に変わる。
空港内でより高度を稼げることで、空港外への騒音を軽減する。


「事前の質問とその回答・質疑応答」

運航者:TCAS RA防止のため、VFRはどのように飛行すべきか?
管制:IFRとの安全な共存のためには、TCAサービスは非常に有効である。

運航者:VFRが飛行する際、特に注意して欲しい点は?
管制:パイロットの意図を管制官に明確に伝えていただきたい。特に針路、高度を変更する場合は事前に通報を。

運航者:高松TCAが関西TCAになったが、TCAの空域は分かれたままで、空域をまたいで飛行すると、TCAアドバイザリーが途中で中断される。
管制:レーダー等の施設は以前のまま。家島付近のMVAは5000~6000ft。レーダーに映らないとハンドオフできない。レーダーに映っていればDBCがそのままでハンドオフできる。

運航者:梅田上空、PCAの上での飛行が許可されなかった。
管制:大阪到着機だけでなく、出発機が接近する可能性がある。混雑する場合は、一時飛行を遠慮してもらう場合がある。地図にPCAは表示されているのか?
運航者:表示される機種もある。
管制:VFRの飛行予測は難しい。どういう動きをしても対応できるようにせざるを得ない。

管制:関空の滑走路選定、10ktのテールまではRWY06、超えればRWY24。管制官がファイナルの風を聞く時は、滑走路選定に迷っている時。
運航者:RWY06の方が、効率的にも騒音対策的にも良い。

管制:ファイナルでの滑走路変更、何フィート位までなら対応できるであろう、というような目安は持っていない。
運航者:低高度で滑走路が変更になった場合、FMSはそのままで、変更された滑走路に着陸することも。ゴーアラウンドしたら管制はどうする?
管制:アプローチクリアランスを与えた状況から、ビジュアルマニューバーに切り替えているので、ミストアプローチコースを飛行させることはできず、ゴーアラウンドになる。レーダーと調整して、HDG・高度を指示する。

管制:ゴーアラウンドした場合、理由を尋ねている。後続機に伝えるため、シビアな状況なら支援体制を取るため、運航情報官からの問い合わせに対応するため。理由を尋ねるのは、どのタイミングが良い?
運航者:L NAVを入れた後位に、ゴーアラウンドとその理由を通報するようにしている。
運航者:WXゴーアラウンドならすぐ言える。システムトラブルの場合、対応に忙殺されすぐには言えないことも。
運航者:VISI悪い時にゴーアラウンドしたら、見えなかったんだなと想像する。風が強い時にゴーアラウンドしたら、ウインドシアがあったんだなと想像する。理由が分からなくても影響はない。

管制:マイクロバーストが発生すると「マイクロバースト」という明確な音と画面表示があり、必ず分かるし、パイロットへも必ず伝える。
運航者:管制官からのマイクロバーストのレポートは、着陸可否の判断になる。

運航者:関空へ東から来るとワイドベクターされることが多い。
管制:東から来る機体だけをベクターしている訳ではない。
管制:アプローチにコンタクトした順番とは限らない。GS・WX・騒音等から、総合的に判断している。
管制:現在位置から任意の場所までの飛行時間をレーダー上で計算できる。シーケンスは時間で決めている。AJE、MAYAH、MIDOHに1番早く着ける機体が1番。

運航者:KANSAI REV DEPで早く高度を獲得するとDirect KNEが期待できるか?
管制:騒音軽減のためKNEを8000ft以上で通過する必要がある。さらに11000ftの大阪到着機があったりすると、KNE9000ft以上をリクエストする。

運航者:大阪のみで使っている「HOLD SHORT OF STOP LINE」は止めるべき。
管制:全国で滑走路誤進入が頻発した頃、大阪でも発生した。どうやって防止するかを検討した結果のスペシャルオペレーション。導入以降、大阪では滑走路誤進入が発生していない。管制官、パイロット、ソフト、ハードの整備をした上で、年単位先になるかもわからないが、スペシャルオペレーションは解消したい。