主催:社団法人日本航空機操縦士協会 西日本支部
日時:2010年2月19日(金) 13:30~17:00
場所:航空保安大学校
関西空港事務所 管制室・運航情報官室
「航空保安大学校見学」
[第1飛行場管制実習室]
180°のスクリーンに南紀白浜空港のレディオから見える光景を映し、運航情報官の実習を行っている。
スクリーンの一部に、上空を飛んでいる飛行機からどういう風に見えているかを映している。
天気の設定を変更できる。
[レーダー実習室]
日本にある新旧すべてのレーダーを実習できる。
後ろ側にはパイロット役の人が実習する席がある。
[第2飛行場管制実習室]
360°のスクリーンにタワーから見える光景を映し、管制官の実習を行っている。
いくつかの地上目標が映されていて、例えば到着機がその上空を飛んでいれば空港から○マイルで、その時離陸機がローリングを開始していなければ到着機をゴーアラウンドさせる、という風に利用しているとのこと。
天候の設定を変更できる。
隣にはパイロット役の人が実習する部屋がある。
[電子科実習室]
NAV・COMの実物が置いてある。
実習室にはひとつしか置いていないが、実際の現場には複数置いてバックアップの体制を取っている。
機械ではなく人の命を守っている物であると教えている。
[航空灯火実習室・飛行場模型室]
PAPIをはじめ各灯火の実物があり、その大きさにびっくり。
[感想]
航空保安のプロを作るためのすばらしい環境がそろっている。
パイロットの知らない所、見えない所で、いろいろな方が安全運航のために働いていている。
バックアップ体制がしっかり取られている。
「関西空港事務所」
[運航情報官室]
通常3人で運用している(SPOT調整・ARR・DEP処理等)。
日本にある2台のFIHS(航空情報提供システム)のうち1台が関空にある。
[タワー]
タワーの床面の高さは79m、大阪湾周辺が一望。
見学時、出発機はRWY24L、到着機はRWY24Rを使用。
RWY24L側にタワー・グランド(RWY24L側担当)・デリバリーの管制官が配置され、ストリップを受け渡ししながら、連携して管制を行っている。
RWY24R側にグランド(RWY24R側担当)の管制官が配置されている。
RWY24Rに着陸すると、スポットまで15分位かかるケースがある。
神戸のトラフィックがいない時、VISUAL APPをやることがある。見学中にもVISUALでRWY24Lに着陸した機体がいた。
[レーダー室]
最新式のARTS Fというレーダー導入後は、部屋の照明が明るくなったと聞いていたが、想像していたのより暗かった。
L字の長いデスクに卓が複数配置されている。TCAはL字の角に配置され、TCAの右側には大阪・関西の卓が、TCAの左側には神戸の卓がある。
レーダーはフルデジタル化されていて、複数のサイトの情報を合成して表示している。
タグの色によってどの空港の離陸機か着陸機かを判別することができる。
航空機がトランスポンダーのアイデントを押した場合、タグの上方に「ID」が点滅する。
プラン18項に「TCA/RJBB○○○○」と記入すると、事前にDBCがアサインされる。記入していないと、TCAの管制官がレーダーの画面上に小さなウインドーを開いて、いろいろな情報を入力してDBCをアサインしなくてはならず、TCAアドバイザリー開始まで時間がかかる。
TCAはVFR機と交信して得た情報を元に、レーダーの他の卓やタワー、他の空港のタワーに連絡・情報提供・調整等を行っている。飛行機と無線で話す時間より、そちらの方に割く時間の方が多いように見受けられた。
レーダーの画面には空港やFIXは表示されているが、地名は表示されていない。昨年の管制情報懇談会の中で、関西出身でない管制官はVFR機が通報した地名を知らない場合地図を開いて調べている、というお話があった。パイロットは、管制官が関西出身かどうか分からない。パイロットは地名で通報するより、レーダー画面に表示されている明らかな場所(空港やFIX等)からの方位・距離で通報した方が、意思疎通がスムーズだと思われる。
訓練空域通過機がTCAにコンタクトすると、入域・出域時刻を手書きで記録している。