2011年2月25日金曜日

第1回関西ブロック合同管制技術交流会報告

日時:2011年1月28日(金)
場所:関西空港事務所 1階 講堂

「感想」
関西進入管制区内には多くの空港がある。
関西進入管制区の周辺にも多くの空港がある。
関西進入管制区内及び周辺の空港を離着陸する航空機が関西進入管制区を多数飛行しており、混雑した空域である。
各空港の出発経路・到着経路がいろんな所で競合しており、高度制限を付ける等して間隔を保っている。
VFR機はTCAアドバイザリーやレーダーアドバイザリーを受けて、IFR機の経路と競合しないよう注意が必要である。


「開会あいさつ」
関西空港事務所 銭亀隆英先任航空管制官

管制技術交流会をこれまで各空港事務所で行っていたが、全国を6ブロックに分けて行うようになった。
関西ブロックは関西・大阪・八尾・神戸・高松・岡山・高知・航保大。
高知進入管制区が今年関西進入管制区に統合される。
来年は高松も。
統合後も同様なサービスを提供できるよう努力する。
交流会の目的は管制官とパイロット・運航者の意思疎通。


「航空管制の安全性向上について」
日本ヒューマンファクター研究所 本江彰研究主幹(元JAL機長)

日本航空機同士のニアミス事故の最高裁判決で裁判長は「本件は、そもそも、被告人両名が航空管制官として緊張感をもって、意識を集中して仕事をしていれば、起こりえなかった事態である」としている。
実際は逆で緊張しすぎるとエラーが発生する。
平常時もエラーは普通に発生する。
最高裁は人間を理解しておらず、ヒューマンエラーの捕らえ方を根本的に誤っている。
エラーは人間の特性で、懲罰では直らない。
情報を開示し分析することが再発防止に繋がる。
当時TCAS RAが発生した時の管制官の対応は決まっていなかった。
組織事故という視点が欠落している。
業務上過失致傷罪が成立するには、判断や行為によってもたらされる事態について予見することが可能であったかが重要。
この事例で結果予見は無理である。

管制保安部の依頼で発足した管制アドバイザリーチームが、伊丹滑走路誤進入等を調査。
柳田邦男座長はまず「誰かが気付きチェーンが切られた成功例ととらえよう。この防護壁が将来も続くか、防護壁をもう少し増やした方が良いか検討しよう」と。
調査よりエラーは人と人のコミュニケーションの中で発生していること、音声通信によるコミュニケーションの脆弱性等が分かった。
一般的エラーは注意喚起では防げず、エラーを引き起こすような組織要因に目を向ける必要がある。

気付きを褒める。
「安全第一」の標語だけではダメ。
上が安全を求めていることを具体化に伝えることが、現場の勇気に繋がる。
人間の行動7割が自動化。
見ているけど見えてない。
指差呼称は有意識化のひとつの方法。

全スレットの内1/4がATCに関するもの。
その内10%がエラーになった。
管制官とパイロットが相互にスレット理解することが必要。
パイロットのスレットがパイロットエラーに発展しATCスレットになる。
ATCスレットを防ぐにはパイロットに働きかけることが重要。


「関西空港における経路の遵守について」
関西空港事務所 水本亮一主幹航空管制官

関空は環境に優しい空港。
住居騒音の影響等を考え、努めて海上を飛行し、陸地上空を低高度で飛行しない。
大阪府・兵庫県・和歌山県の陸域上空ではベクターは行わない(一部(LILAC ARRIVALの北側、Y544の南側)除く)。
観測局が31ヶ所あり、騒音・経路・高度を測っている。
逸脱すれば報告書を作成する。
23時から6時の間はAIP RJBB AD2.20に記載のSIDのみ可(騒音軽減)。
交通安全・効率に加え、周辺環境に配慮し、約束を守り、真摯に向き合い、丁寧に説明することで、飛行可能な陸域エリアを拡大してきた。
経路・高度の遵守を(逸脱に注意を)。


「GBAS(衛星航法による精密進入着陸システム)の概要と開発動向」
独立行政法人電子航法研究所 福島荘之助研究員

GBAS(ジーバス)とは衛星を利用した進入着陸システム。
地上装置1式で複数の滑走路に複数の進入方式を設定できる。数十年後にはILSからGBASへ完全移行。
機上装置GLS(GNSS Landing System)は、B787に標準装備、B737NG・A320等にオプション。
2030年には旅客機の半数に装備が見込まれる。PFD表示・操縦ともILS同様。
アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアでCAT-Ⅰ評価中。

日本では電子航法研究所が96年からGBASを研究。
関空へGBASプロトタイプを設置し、今年2月から3月にかけ飛行実験を行う。


「質疑応答」

[関西空港関係]
運航者:北側から関西空港へ向う到着経路が遠い。関西コリドーを作ってはどうか?
管制官:大阪空港があるため難しい。陸地部を高い高度で来てから降ろすのもメリットがない。地元と経路の約束があり事務所としては難しい。
大阪局:対地元、騒音対策のことがある。

運航者:関西RWY24時、淡路VORあたりから200ktにスピードコントロールされると3~4分到着が遅れる。
管制官:先行機との間隔の関係がある。

運航者:関空のTAXIの経路がR→L-TWY→P-TWYと、離陸前の忙しい時にクランクが続く。海外では到着機は滑走路側、出発機はターミナル側が一般的である。
管制官:出発機をL-TWYに入れると、J4東の貨物エリアでプッシュバック機があると待つことになる等の理由で、P-TWYに入れた方が良い。

運航者:短いA-RWYを出発用、B RWYに着陸用にしている理由は?
管制官:場面の管制処理利便性(地上滑走距離。パラレルの数(A-RWY端は他機を追い越せるが、B RWYは追い越せない))。周辺上空の管制処理(RWY06R MAIKO FIVE DEPは2500ft以上の高度制限が付いていて、神戸出発機を1500に押さえたら1000ftの間隔で同時リリースできる。RWY06Lは2500FT以上の高度制限がないため、時差で出さざるを得ない。またKNE R-318にどこで乗るのかが決まっておらず、ヘビー機がゆっくり曲がると、神戸機とのレーダー間隔取りにくい。RWY24時、RWY24R出発機とLILAC ARRIVALが競合。RWY24R出発機とRWY24Lのミストアプローチが競合。RWY24RのVISUAL APPROACH機がGO AROUNDした場合、どこへ逃がすかが問題。270°でベクターすると次のVISUAL APPROACH機と競合等)。

[TCAアドバイザリー関係]
運航者:TCAアドバイザリー中の高度変更は通報が必要?
管制官:VFRの高度を指示する立場にないが知っておきたい。義務はないがVFR機同士も含めて管制間隔を取っていることが多い。TCAS RA防止、他の席との調整にも有用。

[大阪空港関係]
管制官:大阪空港はテールが10ktを超えない限りRWY32を使用。数年前はRWY14が2%あったが、現在はRWY32が99.1%。

運航者:大阪空港の管制官にとってILSとRNAVどちらが都合良い?
管制官:ILSの方が都合良い。RNAVは天気が悪いと32Lに振りにくいが、ILSからなら32L・32Rどちらでもいける。RWY32L到着機が5NMなら、出発着出せる。出発機がなければ32L、出発機があれば32Rに振れる。RWY32R対象機はパフォーマンスが許せば32Rをアクセプトしてほしい。そうすれば出発機を早く出せる。

運航者:OHDAI 13,000FTからショートベクター、MUGIE FL190からショートベクター、事前に知らせてほしい。
管制官:OHDAI 13,000FTが高いという認識はある。しかしOHDAIの東は12,000FTまでセントレアの空域。セントレアと調整し早めに降下させることがある。NATCH 11,000FTでACCからセントレアに移管される。セントレアRWY36の時はどんどん降ろすが、RWY18の時はまだ高い。

管制官:明らかに5分遅れる。高い方が良いか、低い方が良いか? 分かっているなら高いほうが燃費良い?
運航者:B767・B777はすぐ降下するが、B737-8は降りにくい。機体パフォーマンスを見ながら。


「レーダーシミュレーター体験」
関西空港事務所内に最新式レーダーのシミュレーターがある。
前席・後席に分かれていて、前席のレーダー画面には訓練生が座り飛行機をベクターする。
後席のレーダー画面には教官が座り訓練生がベクターする飛行機の諸元をシミュレーターに入力する。

シミュレーター体験(レーダーの管制官の体験)のため前席に着座。
大阪到着機、OHDAIから1機、南から2機という設定。
まずどの順番に降ろすかを決める。
その順番になるようベクターする(到着機を並べるためにベクターで使えるエリアは思うより狭かった)。
MVAを考慮しながら降ろす(金剛山付近はMVAまで降ろすとGPWSが鳴るため、直径数マイルの円が表示され、そこを避けるようにベクターする)。
MIDOHに近づいたら、アプローチクリアランスを出し、大阪タワーにコンタクトさせる。その時6NM間隔に並んでいるのが理想。
レーダー画面右のボタンを押せばMVAやFIX名を表示できるが、地名は表示されない。
土地勘のない管制官は地図帳を開いてその地名を探している(FIXで言えば管制官はすぐ分かる)。
ライン機はレーダー上をゆっくり動くが、3機をベクターしたり高度を降したりで、結構バタバタ。
そうしているとあっという間にMIDOH手前までやってきてしまう。
そこにIFRのルートを理解していないVFRがフラ~ッと割り込んできたら、私が管制官だったら「勘弁してよ」と思うはず。
またIFR機にからむ場所で撮影時、待たされるのも納得できたような気がする。
でも実際はラインの隙間を見つけてそこに撮影機を差し込もうと管制官が努力してくれていることを私たちは知っている。
管制官がプロの対応をしてくれているのだから、撮影機もプロの対応が必要だと思う(見やすい飛行要望書だとか、短い無線とか、無線を聞き逃さないとか、タイミングを逃さない飛行とか・・・)。

2011年2月1日火曜日

ASI-NETにドキッとしたこと教えてください

小型機航空安全情報ネットワーク"ASI-NET(アシネット)"の目的は、皆様の「ヒヤリ・ハット体験」を共有することにより、事故の未然防止を図ることにあります。
ASI-NETが目指すのは「失敗を罰する文化」ではなく、「失敗に学ぶ文化」です。
報告によりあなたの貴重な体験報告が多くのパイロットを救うかもしれないし、またあなたは自分ひとりの体験の何十倍もの情報を得ることもできます。
皆様の事例報告を積極的にASI-NETへお寄せください。
なお航空局はASI-NET参加組織ではなく、提供された情報に直接アクセスすることや、ASI-NETに情報の提供を求めることはありません。
もし航空局が何らかの経緯により情報を知ったとしても、その情報のみにより行政処分を行うことはありません。
ASI-NETホームページ http://asi-net.atec.or.jp/

新滑走路標識へ順次変更中

航空法施行規則が改定され、接地点標識が廃止、目標点標識(エーミングポイントマーキング)が新設、接地帯標識と停止位置案内標識が変更されることになりました。
平成23年7月までに順次変更されることになっています。

図は長さが2400m以上の滑走路の場合の新標識です。

新標識の詳細はAIC028/08をご覧ください。

ASI-NET FEED BACK No.2010-003

小型機航空安全情報ネットワーク(ASI-NET)の刊行物FEED BACK No.2010-003が発行されました。内容は・・・

・習慣に隠れる盲点!
・ヘリコプターと小型飛行機との接近
・航法援助施設上空でのニアミス
・荒川上空でニアミス
・あと10分着陸が遅かったら
・芦ノ湖で天候急変「濃霧」 他

詳細はこちらでご覧いただけます。

航空保安業務処理規程第5管制業務処理規程の一部改正について

平成23年1月13日に飛行方式設定基準(平成18年7月7日国空制第111号)が改正されることに伴い、福井空港及び沖永良部空港にBasic-RNP1 による標準計器出発方式並びに旭川空港にRNAV 進入方式が設定されることを受け、航空保安業務処理規程第5管制業務処理規程の一部が改正されました。

航空保安業務処理規程第5管制業務処理規程の一部改正について
Basic RNP1資料
平成22 年度航空保安業務処理規程第5管制業務処理規程改正 新旧対照表(平成23 年1 月13 日施行)

対空援助業務を実施する空港における出発待機/解除の指示に係る手続きついて(通知)

対空援助業務を実施する空港(RADIO/REMOTE)における、出発機への管制承認の発出に係る手続きについて、通知を受けました。

��.内 容
出発機に対し、「HOLD FOR RELEASE.」の用語を使用して地上待機させた後、当該指示を取り消す場合は、次の用語が使用される。
★出発を許可します。
RELEASED FOR DEPARTURE.
[例] ATC clears J-Air 2264 released for departure.

��.適 用 日
平成23年2月1日

対空援助業務を実施する空港における出発待機/解除の指示に係る手続きについて(通知)

2010年12月17日金曜日

第23回近畿地区管制・情報懇談会ダイジェスト

主催:社団法人日本航空機操縦士協会(JAPA)西日本支部・八尾空港協議会
日時:2010年11月26日(金) 13:15~17:00
場所:八尾空港総合ビル2階

「主催者あいさつ」
JAPA理事 平山開偉

今年は小型機事故が立て続けに発生している。
小型機の過去の事故を分析すると、パイロットのミスが70%、機材トラブルが13%。
各種講習会を開催し安全運航に役立てたい。


「大阪フライトサービスとコンタクトし安全運航を」
舞洲ヘリポート管理事務所 片山礼二所長

舞洲へリポートは舞洲の北端に位置する。
騒音問題はほとんどない。
北東にヨットハーバーがあり若干飛行制限がある。
南側に盛土がありその方向には出発できない。
滑走路は05/23と10/28の2本がある。着陸は23・10、離陸は05・28と2本の滑走路を使う変則的な運用を行っている。
平成18年度より指定管理者が舞洲へリポートの管理を行っている。
管制官OB4名で対空業務を行っている。他女性1名が訓練中。
担当空域は当初は3NM・3000FTだったが、昨年5NM・1500FTに変更となり、八尾管制圏・大阪PCA・神戸管制圏と近接している。
管理事務所2階で対空業務を実施しており、体を動かさずに首を振るだけで見渡せるのは約200度。東側が良く見えるが、南西側の視界は悪い。状況によっては1人が見て、1人が通信を担当することも。
義務でないにしても、コンタクトする理由はみなさんご存知のとおり(注釈:AIC 002/09「飛行場等の周辺を有視界飛行方式により飛行する場合の安全対策について」参照)。しかし大阪フライトサービスにコンタクトしていない航空機が時々いる。パイロットからどこにヘリが飛んでいるというレポートが入ることがある。一部コンタクトしないという航空機が存在すると危険度が増す。
このあたりを飛ぶ航空機はみんなコンタクトすることで、他機もその情報をモニターでき、視認がしやすくなる。

対空業務を実施することで安全業務に寄与したい。
公共用へリポートとして給油体制を確立したいと取り組んでいる。
ご意見があれば電話でもFAXでも良いのでお寄せいただきたい。


「TCASの運用について」
 学校法人ヒラタ学園 植野廣園操縦教官

アメリカは「人間はミスをするものだ。そのミスを機械でカバーしよう」という発想。その機械の1つがTCAS、Traffic alert and Collision Avoidance System、空中衝突防止装置である。
TCASは、トランスポンダーモードS等を利用し、機内のコンピューター同士でやりとりをし、「お前は下がれ、俺は上がる」と回避方向を決める(回避指示は水平ではなく上下)。
地上の管制とは全く独立した物。
TCASⅠは、18~25NM以内の航空機の位置関係が画面上に表示され、危険度により黄色や赤色で表示される。高度差も判る。他機との高度差1200FT以内で、衝突20秒から48秒前になるとTA(Traffic Advisory)を出し、「トラフィック、トラフィック」と音が出る。TAが出るとパイロットは視認に努める。
TCASⅡは、第2世代、現代のTCASで、他機との高度差1000FT以内で、衝突20秒から48秒前になるとTA(Traffic Advisory)を出し、「トラフィック、トラフィック」と音が出る。TAが出るとパイロットは視認に努める。さらに衝突15~35秒前にRA(Resolution Advisory・回避指示)を出し、「クライム、クライム」または「ディセンド、ディセンド」と音が出て、上昇率・降下率も指示される。パイロットはいかなる場合もRAに従い、2.5秒以内に0.5G、1秒1度のピッチレート(離陸のピッチアップの要領)で操舵し、+8度のピッチで上昇または-5度のピッチで降下させる。
TCASⅢは、次世代のTCASで、上昇・降下に加え、左旋回・右旋回の指示も出す。
19席以上、5.7t以上の航空機にはTCASⅡを搭載する義務があるが、小型機には装備の義務がない。そのためエアライン機と小型機(TCASⅠもしくはモードA・C搭載)が接近した場合、エアライン機にしかRAがでず、エアライン機のみが回避行動をとる。片方の機体にしかTCASが付いていなければ安全の確立が5割に減る。
アメリカにはスカイウォッチというシステムがあり、全部の飛行機の位置が機内の画面に表示される。G1000には組み込まれており、日本もそういう時代がやってくるのではないだろうか。
八尾付近の大阪PCAのフロアーが2000FTから3000FTに上がり、八尾関連機と3500FTで飛行している大阪空港到着機との間でのRA事例が増えた。八尾から離陸した航空機が2600FTまで上がり、上昇率が500FPM以上あると、3500FTで飛行中のエアライン機のTCAS RAが必ず鳴る。PCAを2500FTまで下げたらどうかという話しが出ていると聞く。(注釈:敵(TCASがどういう時に鳴るのか)を知って、私達がどういう運航をすべきか考えて欲しい。)
GA機はTCAからレーダーアドバイザリーを受けて、積極的に情報(インテンション)を伝えることが大切。



「関西ターミナル管制業務の概要」
関西空港事務所 水本亮一主幹航空管制官
関西空港事務所 佐藤亜由実管制官

管制官は約120人。女性は2~3割。
関西進入管制区を9つのセクターに分けている。TCA席を加えると10席の運用卓がある。
来年6月に高知を統合予定。その約1年後には高松を統合予定。
約2年前からARTS-Fという最新式フルデジタルのレーダーを使用している。トランスポンダーランスポンダーがないとレーダーアドバイザリーは難しい。
小型機とIFR機がマージングする場所。 到着機関係:明石海峡付近、神戸空港上空から関西RWY24への経路の大阪湾、関西RWY06の友ヶ島、OHDAIから大阪への経路、六甲からの大阪RWY32への経路他。 出発機関係:大阪の西行き経路、東行き経路のうち低高度の領域他。

[TCASについて]
TCAS RAが発生すると、パイロットは管制機関にRA発生と回避措置の内容を通報する(パイロットが通報しないと管制官はRAが発生していることを知り得ない)。回避終了したら速やかに指示高度に復帰する。
TCAS RAに従って飛行中は管制指示は出されず、回避操作により影響を受ける他の航空機との管制間隔について責任を有しない。
管制間隔を設定していてもTCASのロジック上、RAが発生するケースがある。

PCAは管制機関から許可された場合を除いてVFRでは飛行できない。
神戸空港開港前は、八尾管制圏のすぐ上に大阪PCAがあったが、緩衝ゾーンがないのは不便という意見をふまえて緩衝ゾーンができた。小型機等がそこを飛行する場合、高度によっては3500FTで飛行している大阪到着機にTCAS RAが発生する。そのことについて昨年注意喚起を行い、八尾空港関連のRA事例は減っている。しかしRA事例が頻発すれば、緩衝ゾーン見直しも考えられる。
通信設定をしていなくても、トランスポンダーを作動していればレーダーでIFR機に情報提供できるし、TCASに自機の存在を知らせることもできる。
ARTSには異常接近警報監視機能があるが、TCASとは連動していない。
ARTSには最低安全高度警報監視機能があるが、GPWSとは連動していない。
航空法111条の4の規定により、航空運送事業者はTCAS RAを報告する義務がある。また法111条の5の規定により、局はそれらの報告をまとめ毎年公表している。

[TCAアドバイザリーについて]
プラン18項にTCA/RJBB○○○○(TCA進入予定時刻)を入力しておくと、TCA席にTCA進入予定時刻、型式、目的地、型式、DBC等が記入された運航票が配布され、スムーズにTCAアドバイザリーを開始することができる。
交信は日本語でも英語でも良い。
TCAアドバイザリーを要求する時は、まず関西TCAと通信設定を行う。例:”Kansak TCA,JA○○○○”。
TCAが”go ahead”と言ったら、航空機の型式・現在位置・高度・飛行方向又は経路を通報する。例:”JA○○○○、Cessna172、7NM W of YAO,1200ft VFR,west bound,request TCA advisory.” (注釈:この時に具体的要求まで長々と伝えるパイロットがいますが、それを伝えるのはレーダーコンタクトされた後にした方が良いでしょう)
レーダーコンタクトされたらTCAアドバイザリーが始まるので、具体的要求を簡単明瞭に伝える。
地名を言われたても分からない管制官もいる。例えば「大阪空港の何マイル東」という言い方ならすぐ分かる。
高度・針路を変更する場合は必ず伝えてから(予告なしの高度・針路変更は即応できない)。

平均2000機/月、忙しいと1時間40機取り扱うこともある。
しゃべっている管制官が行う調整業務も多い。
TCAが忙しい場合、アプローチやディパーチャーに振り分けて、レーダーモニターを実施するケースがある。
レーダー覆域と管制官の助言は100%ではない(電波の特性上映らない空域がある。繁忙期は1機だけを監視することはできない)。状況によっては情報が遅れや欠落が発生する。
より良いサービスを提供しようとがんばっている。

[飛行要望書の記入方法について]
飛行要望書は実施当日にFAXで提出を。有効期限は1日のみ。
例えばMSN No.115-2のように”-2”をつけるのは止めましょう(要望書を探しにくい。No.が足りない場合は管制事務室へ連絡すれば追加で割り当てます)。
機番は当日使用するもののみを記入し、たくさん書かない。
目印になる物が何もない地図は困る。レーダー上で参考できる物、例えば空港等を入れた地図を。
FAXで送信された地図がかすれていると、無線での確認が多くなる。簡潔に分かりやすく。

航空測量のような線上飛行の地図は、開始点・終了点を正確に。
他の管制機関と調整している場合は、その番号の記入があると調整に役立つ。
半分に折って使用する。必要事項は下半分におさまるように。


「八尾空港の現状について」
大阪航空局 八尾空港事務所 中本公徳主幹航空管制官

1日平均160機。
昨年の管制情報懇談会でお願いしたランプアウトの際のスポット名の通報、ご協力いただき航空機の動きがよりつかめるようになった。あわせてランプインの時もスポット名通報にご協力いただきたい。
11月18日にFDPの端末が入った。経路が長いと全部表示できないケースがある。IFRのクリアランスを要求する際、クリアランスリミットを確実に通報してください。
13:30頃にRWY C’Kを実施している。TAXII OUTした飛行機はB1で待機してもらっている。
パイロットがタワーに単に「レディ」と通報した場合、その後どうしたいかの確認が必要になる。インテンションを伝えて欲しい。
パイロットがタワーに「レディ。ライトターンディパーチャー」と通報した場合、右旋回でどこ行くのかが気になる。18方角やポイントで通報して欲しい。
パイロットがタワーにレディをコールする際、インターセクションディパーチャーならその旨を通報して欲しい。他機との間隔設定に影響する。
パイロットがタワーに例えば「レディ。インターセクションディパーチャー、ライトターントゥー天王寺」と通報した場合、全部処理でき、交信量の少ない簡素な管制となる。

TA級ヘリコプターがヘリパッドテイクオフを実施したい場合は事前に通報を(黙って実施するケースがあった。他機との間隔の設定に影響する)。
RWY27のストレートアウトディパーチャー、管制官としては浅香に行くのが普通と思っているが、なかには北西に行く人がいた。長居のミッション機や中百舌鳥の北で飛んでいる機体と接近した例もあった。どこで管制圏を離脱するかを18方位か位置で伝えれば行き違いが防止できる。
TGLは1フライトプランで連続最大5回、ブレークをはさみ連続最大5回、計10回まで。
ノースパターンを使う比率も増えてきている。ノースパターンでのTGLは、民間ヘリ自衛隊ヘリの経路と絡む。ノースパターンでTGLしたい時は、リクエストはダウンウインドで。
STOP ON THE RWYのリクエストは早めに、遅くとも後続機がベースに入るまでにして欲しい(STOP ON THE RWYを行うのは朝日航空の機体が多いが、ダウンウインドで情報をもらえている)。
ヘリコプターがRWY27北側のショートダウンウインドから180オートローテーションを実施すると、タワーの屋根に隠れて見えなくなるので遠慮を。
RWY09使用時、訓練でオーバーフィールド経由、北のパターンに入る場合は早く連絡を。自衛隊のヘリやセンターヘリパッドのヘリと絡む。
飛行要望書の地図、TCAチャートをコピーして使用しているケースがある。TCAチャートには大阪への進入経路が記入してあり、要望する経路を勘違いするケースがある。TCAチャートは使って欲しくない。
要望書をFAXで提出した場合、細かい字がつぶれることがある。また届いていないケースもあるので、到着確認を入れてもらう方が確実。
ミッション機は「REQ STAY [場所]」だけでなく、必ず高度も通報してください。
管制圏通過時「王寺to浅香」と言われると、どこを飛ぶのか、場周経路と絡むのかどうかが気になる。
外来機が着陸する場所を勘違いしたケースがある。
TDS(関西のレーダーの情報)は八尾の東側が映りにくい(地形的問題)。
簡素で交信量の少ないボイスを。
12月23日から25日、クリスマスフライト、八尾1時間に45離着陸トラフィックに注意を。


「質疑応答」
パイロット:ドクターヘリではない県防災ヘリが医療ミッションを実施する場合、どのようにコールすべきか。徳島でEMSと言ったら、管制官からEMSという管制用語はないと言われた。またプライオリティーは要求できるか?
関空管制官:EMSという管制用語はない。EMSという言葉にピンこない管制官が多いと思われる。人命救助であればプライオリティーを与える事が可能なので、その旨連絡を。離陸前に連絡をもらえれば、呼び込みがあった時点ですぐ対応できる。具体的に経路・高度・ミッションの内容を通報してもらえば、可能な限り対応したい。

パイロット:オプションアプローチは、管制官にとってどういうイメージ?
八尾管制官:何ら支障ない。ただし後続機が影響を受ける。後続がベースに入る前にリクエストを。

パイロット: 飛行要望書をFAXで提出すると見にくいケースがあるようなので、事前に調整できるものはメールで提出しては?
関空管制官:現在、24時間人がいるレーダールームにFAXが届く形をとっている。紙が出ていればすぐ分かる。到着したことに気付くのはFAXが一番有効。
八尾管制官:最近になってやっとFAXがタワーに付いた。それをさらにメールというところまでは行かない状況。

「ディスカッション 主要ポイントおさらい」
JAPA西日本支部 若谷哲也

八尾を離陸して南東方向に上昇する場合、伊丹への進入機のTCAS RAを鳴らさないためには、上昇を何フィートでストップするべきか? TCASのロジックを考えると、どんなに高くても進入機の1000FT下、つまりどんなに高くても2500FTでストップするべきである。


前年度のダイジェストはこちら


岡南フライトサービスに変更・大分AVGAS廃止

岡南飛行場における航空交通業務用通信施設のコールサインが、今日より変更になりました。
変更前:岡南エアーサービス
変更後:岡南フライトサービス
(WEF:0000JST 16 DEC 2010)

大分空港でのAVGAS給油取り扱いが廃止され、今日からは給油できません。

岡南飛行場、大分空港へ飛行の際はご注意ください。

2010年11月28日日曜日

管制・情報懇談会終了

社団法人日本航空機操縦士協会西日本支部・八尾空港協議会共催の第23回近畿地区管制・情報懇談会が、11月26日、八尾空港総合ビルで開催され、58名の方にご参加いただきました。

講師のみなさまには大変お世話になりましてありがとうございました。

※講義のダイジェストはこちらをご覧ください。

2010年11月26日金曜日

神戸市との意見交換会報告

8月23日に神戸空港で発生した胴体着陸事故に関連し、神戸市長が9月3日に操縦士協会に発行した文書の説明を受け、意見交換を行いました。

日時:2010年9月21日
場所:八尾空港事務所会議室
参加者:神戸市みなと総局 空港事業室・神戸空港管理事務所、JAPA西日本支部委員

神戸市:本日の目的は、8月23日に発生した神戸空港における胴体着陸事故に対して、9月3日に神戸市長名で日本操縦士協会宛に発行した「神戸空港における航空機の運航の安全確保について」(神み空第60号)についての説明と、今後神戸空港における安全確保のための意見を聴取したい。

JAPA:胴体着陸事故については過去もしばしば繰り返されてきた事故である。事故を防ぐためにはパイロットの努力だけでは解決できない。管制からの確認等の相互協力が必要である。今回も滑走路が閉鎖されたが、最近は以前に比べ事故後の処理に手続き等時間がかかり閉鎖時間が長くなりエアライン等に影響を及ぼすことが多くなって問題が大きくなりやすい傾向がある。ただし、空港ごとで対処時間にはかなり差があるので対処のための体制作り・教育の実施が重要だと考える。今回は事故処理に伴う滑走路の閉鎖はどのくらいかかったのか。

神戸市:2時間くらい。

JAPA:それは、かなり早い方だと思う。

神戸市:今回のような事故を未然に防ぐためには、どうしたら良いと考えるか。

JAPA:JAPAでは「小型機航空安全セミナー」を定期的に開催し、会員に対し安全運航に関する情報提供及び注意喚起を行っている。

神戸市:JAPA西日本支部ではどのくらいの会員数がいるのか。またJAPAに所属していないパイロットはどのくらいいるのか。

JAPA:現在JAPA西日本支部は300名弱の会員が所属している。ただし所属していないパイロットもその倍ほどいる。JAPAの活動だけではパイロット全員に安全情報の提供・注意喚起を行っていくには限界がある。空港事務所に注意喚起を促す掲示をして全てのパイロットの目に留まるような施策を実施することも重要だと考える。

神戸市:なかなか掲示物を見てもらえない現実もある。

JAPA:印刷物を配布する手段もある。神戸空港では、今後小型機の運航を制限する可能性はあるのか。

神戸市:今のところ制限するという話はない。ただし、今後も事故が特に人命に関わるような事故があれば、空港利用者からそのような声が上がる可能性も無くはないので、事故の防止を周知徹底させて欲しい。

JAPA:先ほども言ったようにパイロット側からだけで事故を防止することは困難である。管制の協力(音声で脚を出したかどうかの注意喚起を行う共に、双眼鏡で進入してくる機体を視認し、脚が出ているかどうかを確認する)が必要。脚の出し忘れについては、航空機本体のハード的な不備に起因する場合もあるが、最終的には教育により習熟していくしか方法がない。教育をしていくにもJAPAのような団体に所属していない方々にそれを伝えることは難しい。やはり管理事務所のような全てのパイロットが利用するところの協力が必要である。

神戸市:安全第一の観点から出来ることは全て行っていきたい。本日ここで出た意見は管制塔関係機関にも伝える。

JAPA:ヒューマンエラーによる事故の原因としては、知識不足・経験不足・技量不足がある。
小型機の運航を制限することは広い目で見ると、かえってパイロットの操縦経験不足から安全性を損なう可能性があるので旨いやり方ではないと考える。出来ることならタッチアンドゴーについても条件を緩和して訓練を出来るようにしてもらうとより安全に寄与できると考える。

神戸市:本日は貴重な意見ありがとうございました。今後も神戸空港の安全運航に対してご協力お願いします。